気象情報暗号の解読平成16年1月16日配信 |
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日本本土からマリアナ諸島までは数千キロも離れている関係から、気圧配置、風向、風速など、飛行機の航法にとって不可欠な状況が本土と随分相違しています。 南方海上では、偏西風は殆どないそうですが、日本本土では大陸からの偏西風、特に北西の風が上空ではかなりきつく、そのため、航路を誤ることもあります。 当時の気象情報は軍の最高軍事機密として、取り扱われていました。 従って、太平洋戦争が始まった1941年(昭和16年)の12月8日の朝から報道管制が敷かれ、終戦2日後の8月17日までの3年8ヵ月の間は、「天気予報」のラヂオ放送はありませんでした。 ところが、テニアンから来襲するB-29は、本土周辺の気象情報を完全に把握しているが如くに、本土の天候が悪化している場合は、全く飛来せず天候の回復を待っていたかのように飛来してくる傾向が顕著となり、司令部の情報班で原因を探索したところ、第一航空軍通信所から各航空部隊に対して放送している全国の気象情報の暗号が米軍に解読されている、との結論に達しました。 日本軍が行なっていた米軍の暗号解読作業は手作業に頼っており、即時性に難がありましたが、米軍は機械による解読をしていたので、暗号のキ−さえ解ければ、解読は短時間でしかも的確に解明していました。 暗号を解読された結果、幾多の作戦が失敗に終わっていますが、特筆すればミッドウエイ海戦の敗戦あるいは山本五十六元帥が搭乗していた海軍一式陸上攻撃機に待ち伏せしていた米軍機P38ライトニング16機が突然襲いかかり、長官機はブ−ゲンビル島のジャングルに墜落。 随行したもう一機も海上へ不時着、参謀長以下3名が救助されただけでした。 これらは、全て日本側の暗号を米軍が解明したいたことに起因しています。 この時の海軍の暗号は、昭和20年4月1日に改変されたばかりの最高難度の暗号書による打電であったにも拘わらず、4月16日の早朝米軍機の奇襲により長官機は撃墜されました。 これは、米軍が暗号の解読に成功し飛行経路および時間を掌握していたことを物語っています。 しかも、長官戦死の事実は、暗号解読の事実を秘匿するため、日本側が戦死を発表するまで長官機撃墜の公表を控えていました。 暗号を解読されていたことを日本人が知ったのは、終戦後のことです。 司令部では連日に渡って気象情報の漏洩防止計画が討議されましたが、暗号書および乱数表の改変は、一朝一夕で完成させることは至難です。 当面の回避策として放送周波数の大幅変更しかありません。 しかし、従来の周波数の放送を打ち切ると、米軍は必ず不審に思い、新周波数を検索することは必定であるので、従来の周波数は継続し内容は偽の気象情報として流すこととなりました。 新周波数の使用開始期日を各航空隊に周知するのは、無線連絡は米軍に察知される恐れがあるので、有線の軍用電話により、「○月○日00:00以降新周波数 を使用せよ」との司令官通達が出ました。 無線通信は即座に情報連絡が可能であり、当時の通信手段としては最先端の技術ではあったのですが、電波は届く限りあらゆる所まで伝播しますので、通信内容を秘匿する方法手段については最善を期すことに腐心していました。 当時、隊長から聞いた「はなし」を、記憶している限り記しますと。 外務省は、12月8日の開戦前の11月19日に、日本の外交関係が断絶するような事態が起き、国際通信が途絶した場合に海外に短波放送をしているNHKの日本語ニュ−スの中に、次の暗号化した警報を出すこととなっていました。 ◆ 日米関係が危険になった場合 「○○○東の風、雨」 ◆ 日ソ関係が危険になった場合 「○○○北の風、曇り」 ◆ 日英関係が危険になった場合 「○○○西の風、晴れ」 この外務省の暗号電文は10日後の11月28日にはアメリカ海軍が解読しており、日本の海外放送に神経を尖らしていたそうです。 日米関係が危険になった場合の暗号は「東の風、雨」であった筈が、NHKから流されたニュ−スの中では「西の風、晴れ」と、なってしまったそうです、ニュ−スの原稿を誰が間違えたかは、その後の調査でも判明しなかったそうです。 『臨時ニュ−スを申し上げます。臨時ニュ−スを申し上げます。大本営陸海軍部午前6時発表、帝国陸海軍部隊は本8日未明、西太平洋において、アメリカ、イギリス軍と戦闘状態に入れり』 この開戦のニュ−スは12月8日午前7時、臨時ニュ−スのチャイムの後、放送されました。 60年あまり以前の出来事ですが、このアナウンスを聞いた人で、現在存命されている方々は時節柄から考えて、今なにを考えておられるでしょうか。
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