航空総攻撃平成15年12月19日配信 |
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娑婆でアマチュア無線の経験がある和訳担当兵に、モ−ルスの送信練習をサポ−トしていると、「本日1700(午後5時)隊長から戦局に関する伝達がある。集合せよ」との命令がありました。 現時点で想定される隊長の伝達事項とは、本土決戦に備えての部隊編成の詳細か、または作戦ではないかと想像しましたが、いずれにしても、良い話ではないと予想しました。 『隊長』 「司令部での作戦会議の模様および現在の戦局について伝達する。 これより話すことは軍事機密事項であるため、記録することは禁じる。 沖縄に上陸した米軍に対する反撃は、海軍は菊水作戦、陸軍は航空総攻撃を敢行した。 海軍は、第3、5、10航空艦隊、陸軍は第6航空軍が攻撃に参加した。 菊水3号作戦・第3次航空総攻撃までは、陸海軍あわせて約500機以上の戦力を投入していたが、本土決戦に備えるため、止む無く作戦を縮小せざるを得ない情勢となった。 その為、残存している部隊だけで特攻攻撃を行ったが、飛行機の消耗が激しく練習機や旧式機も投入されるに至った。 菊水一号作戦・第一次航空総攻撃は、4月6日〜4月9日(昭和20年)に決定。 沖縄の第32軍は4月7日に反撃を開始した。 陸海軍の航空隊も共同作戦をとることとなり、それを支援するため戦艦大和が率いる第一遊撃隊も沖縄に突入した。 陸海軍は全力をあげて攻撃を行ったが、米軍に対して有効な打撃を与えることができず、4月7日には、戦艦大和がグラマンTBFの集中攻撃により撃沈された。 菊水二号作戦・第二次航空総攻撃は4月10日から開始され、米軍が占拠し、整備されている飛行場を使用不能にするため、32軍との共同作戦を行い戦闘機が飛行場に機銃掃射を加え、続いて爆撃機が攻撃を行ったが、我が軍の地上部隊は米軍の橋頭堡(防御陣地)に阻まれ、大きな損害を受けることとなった。 菊水三号作戦・第三次航空総攻撃は、4月中旬より作戦続行中であるが、米軍の迎撃体制が整い、有効な攻撃が行えなくなった。 そのため、地上の戦闘においても、後退せざるを得ない状況に陥っている情勢である。 大本営は、今後起きるであろう本土決戦(決号作戦)に備えるために戦線を縮小する戦術を採るようである。 以上が現在における戦況の概略である。 当隊に下された司令部の「命令」を伝達する。 『米軍の大機動部隊は、房総半島沖から紀伊水道沖(約600Km)の間の北緯27度から30度の位置にあることが判明した。この機動部隊に対して特攻攻撃を行うことが第一総軍の作戦会議において決定されたが、広い太平洋上のなかで、目標とする敵機動部隊の位置を的確に把握することは至難である。 しかしながら、当隊が過日敢行した硫黄島襲撃における爆撃隊の先導ならびに的確なル−トの選定と迅速な戦果の情報伝達が高く評価され、当隊が特攻機の先導と戦果を確認通報せよ。』 との命令である。 特攻機は海軍が編成するが、出撃基地および機種については、海軍側が策定する。当隊の先導機はT曹長機とし、N軍曹機は出撃準備完了後、別命があるまで待機せよ。 他の者は、出撃準備に遺漏がないよう全力を尽くすように。なお、既に心構えはできていることとは思うが、特攻機と帯同するからにはそれなりの決意が必要である。 準備万端を整えて出撃できるように配意しておくこと。 以上である。」 隊長の戦局情報から、刻々とせまる米軍の戦力がヒシヒシと伝わってきましたが、それにしても「先導を努める熟練した操縦士はもう内地にはいないのか」と思い、寂しくなりました。 T曹長が。 「技術担当兵と相談し、万一に備えて出力は弱くても止むを得ないから、可搬用の無線機を準備しておくように」と言われましたが、私も同じことを考えていました。 技術担当兵に相談すると、「正規のものを作る時間的余裕はありませんが、私の手製でしたら一日あれば作れます」との心強い返事が返ってきました。 さすが、娑婆の通信メ−カ−で伊達にはメシを食っていなかった証拠です。 途中でエンジンが故障すれば万事窮すです。T曹長がいつにも増して厳しく整備軍曹に指示していました。 後は、わたしが平常の精神状態で出撃できるかが問題ですが、極力平静を保つように心がけていました。
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